今回の試合の結果を受けて、凹んでいる子供たちもいるのですが、「運動神経が違うから」を言い訳に諦めるのはちょっと違います。
確かに低学年の子には、速筋の割合による優位性もあるのですが、人間の成長には、神経系が爆発的に発達する「一生に一度きりのタイムリミット」が存在します。
現代科学が示す「スキャモンの発達曲線」と宮本武蔵が説いた「鍛錬」の精神。この二つの点がポイントなのです。
スキャモンの発達曲線が示す「12歳」の壁
・中間筋を一生の武器に変える
神経系の発達が90%以上完了する12歳までの期間は「ゴールデンエイジ」と呼ばれます。この特別な時期にどのような身体刺激を与えるかが、一生の運動能力を大きく左右します。
なぜなら、この時期の筋肉は、爆発力を生む「速筋(白筋)」にも、持久力を発揮する「遅筋(赤筋)」にも変化しうる「中間筋」としての可塑性が極めて高いからです。
成長期の筋肉は、まだ形が決まっていない「柔らかい粘土」のようなもの。大人の筋肉が乾燥して固まったレンガだとしたら、子どもの中間筋はどのような形にも成形できる柔軟な素材です。この時期に武道の動きという適切な刺激を与えることで、将来どんな動きにも対応できる「万能な身体の素地」が出来上がると言われています。
・「型稽古」を繰り返し、脳から筋肉への伝達速度を極大化する
伝統的な空手の「型稽古」。その本質は、筋肉を大きくすることではなく、脳の命令を筋肉へ届ける「神経伝達の高速化」にある、との考えを私は支持しています。
同じ動作を正確に繰り返すことで、神経回路を覆う「髄鞘(ずいしょう)」が厚くなり、これにより電気信号の漏れがなくなり、処理速度が飛躍的に高まります。
一回の型は、脳から手足へ「ライン」を渡す作業。
千回の型は、そのラインを束ねて「経路」にする作業。
万回の型は、その経路を「光の道」へと進化させる作業。
意識せずに手が動く、考えずに体が反応する。この「自動化」こそが、型稽古がもたらす神経系への恩恵だと考えています。
宮本武蔵 「鍛錬」の精神
宮本武蔵は『五輪書』において、「千日の稽古を『鍛』とし、万日の稽古を『練』とする」と記しました。それはまさに「反復による神経系の洗練」そのものです。
『鍛(たん)』:まずは千日(約3年)かけて、バラバラな身体機能を一つにまとめ上げる。
『練(れん)』:さらに万日(約30年)かけて、その機能を極限まで磨き上げ、無意識の域まで高める。
龍勇舘での稽古は、まさにこの「鍛」のプロセスを最も効率よく、かつ楽しみながら行えるようにと考えています。身体が粘土のように柔らかい今だからこそ、正しい「型」を繰り返し身体に染み込ませ、一生枯れない運動神経の土台を作るべきとおもいます。
一度敷設された「神経の光の道」は、成長後に他の競技に転向したとしても、一生失われることのない財産になるはずです。
正しい姿勢、正しい軌道、そして正しい精神。
龍勇舘の型稽古を通じて、子供たちの未来に「自信」という名のギフトを授ければと思っています。共に「鍛」を積み、一生モノの輝きを磨き上げませんか。
道場でお待ちしております。

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